デザイン概念としての「発酵」は、現代の加速主義に抗い、時間をかけて価値を醸成させていくモノづくりを志向するものです。わたしたちFerment Media Researchでは、NukabotやMisobotといった発酵微生物とコミュニケーションを図るモノのデザインを通して、短期的な「問題解決」ではなく、中長期的な「関係構築」に資するテクノロジーの在り方を考えてきました。過去2回のダイヤモンド社の « Design X Diamond » でのワークショップでは、「発酵」の考え方をどうやって具体的なデザインに落とし込むのかという問いを参加者と考え、形にしてきました。
今年で三回目となる今回のワークショップでは、講師陣と参加者が共にデザインする形式で、より具体的な発酵的モノづくりに挑戦します。 初回と二回目で、参加者それぞれの関心や問題意識を浮き彫りにし、デザインの対象物の選定を行い、グループをつくります。三回目では制作途中のモノを持ち込みディスカッションを重ね、最終回にはデモンストレーションと発表を行います。
このワークショップで扱う「モノづくり」の対象は、広く開かれています。たとえば講師陣は現時点でKimchibot(発酵するキムチと対話しながら暮らすためのモノ)を制作したいと考えていますが、このアイデアに興味のある参加者も一緒にデザインができればと考えています。また、この制作プロセスを2026年春の文学フリマ東京に向けてZINEとしてまとめたいとも考えています。その他にも、たとえば「編み物」や「料理」など、既存のテクノロジーデザインのステレオタイプに囚われない発想を歓迎します。
また、ワークショップ期間の全体を通して、参加者の「思考を発酵」させるジャーナリングを行います。このために、「発酵するSNS」を目指して開発中のサポートツール「Pickles」を導入します。
そして期間終了後には、この発酵的なワークショップを通して醸される面白いモノたちを各参加者の思考の発酵プロセスと共に、都内会場で展示したいと考えています。作品制作と展示は本ワークショップが終了した後の、自主参加のかたちになります。ワークショップが終わった後でも、講師陣とのコミュニケーション(主にオンラインのDiscordで行う予定)、そして作品づくりと発表に意欲的に取り組んでいただける方のご参加をお待ちしております。
以上のように、たくさんの開かれた可能性を参加者の皆さんと一緒に現地で「発酵」させていきたいと考えています。テクノロジー以外にもデザイン全般、編集、キュレーションなどの実践や、日々の生活を支える様々な活動を深めたい方もぜひご参加ください。
※ 注意点: なお、このワークショップでは会場に集まる時間の外でも、チーム内で連絡が取れること(Discordやその他のツール)が必須となります。ワークショップ時間外でも積極的に参加いただけることが重要となりますので、その点ご注意ください。
日 程:2026年1月9日(金)1月23日(金)2月2日(月)2月9日(月)[4日間開催]
時 間:
1/9, 1/23, 2/2 - 14:00〜17:00
2/9 - 13:00〜18:00(終了後懇親会あり〜19:30予定)
会 場:K,D,C,,,フードラボ(キムチ・ドリアン・カルダモン)
東京都新宿区百人町1丁目10−15 JR新大久保駅ビル4F
受講料:55,000 円(50,000円+税)
割 引:
◎早期割引《追加》(12/18まで)
◎Design X Diamond 購読者割引
いずれも5%OFF >> 52,250 円(本体価格47,500円+税)
*Design X Diamondの購読登録はこちらから。
* 法人でのご利用の場合には、各種特別割引もご用意しております。
ご案内をご希望される方は、こちらからお問い合わせください。
定 員:30名(予定)
講 師:ドミニク・チェンさん、ソン・ヨンアさん、城一裕さん
主 催:ダイヤモンド社 / Design X Diamond
協 力:K,D,C,,,
DAY 1 / 塩漬け期:発酵キックスタート |
|
|---|---|
|
|
最初に、このワークショップの意図を説明します。 この日から全体で2週間のあいだ、Discordを使ったコミュニケーションと、支援ツールPicklesを使ったジャーナリングを通して、それぞれのアイデアや関心を深めていきます。 [ 次回までのインターバル:14日間 ] Picklesを使ったジャーナリングを継続+Discordチャネルでのディスカッションに参加 |
DAY 2 / ピクルス期:育成のデザイン |
|
|
|
各参加者の2週間を振り返りつつ、あらためて関心を話しあい、制作チームをつくります。 最初のチーム・ディスカッションを行い、最終発表に向けて何をするのかについて話し合います。 この日から、各チームのワークショップ時間外での制作が始まります。 [ 次回までのインターバル:10日間 ] チーム制作のキックスタート |
DAY 3 / ぬか床期:多様化のデザイン |
|
|
|
各制作チームの経過報告を行います。互いにフィードバックを返して、次週(2/9)の最終発表に向けた制作を進めます。 ここから最終回まで1週間、各チーム内で制作の追い込み期間に入ります。 [ 次回までのインターバル:7日間 ] 制作追い込み |
DAY 4 / 発表と講評:超熟成発酵に向けて |
|
|
|
各制作チームのつくったモノを見せ合い、相互にコメントをします。 ここから、展示に向けた動き方について協議し、それまでにどのようにモノを発酵させられるのかについてもディスカッションします。 [ 展示までのインターバル:一ヶ月 ] そこでどう発酵させるか、を考える。 |
1981年生まれ。博士(学際情報学)。NTT InterCommunication Center[ICC]研究員, 株式会社ディヴィデュアル共同創業者を経て、現在は早稲田大学文学学術院教授。人と微生物が会話できるぬか床発酵ロボット『Nukabot』(Ferment Media Research)を開発するほか、不特定多数の遺言の執筆プロセスを集めたインスタレーション『Last Words / TypeTrace』(遠藤拓己とのdividual inc. 名義)を制作し、国内外で展示を行いながら、テクノロジーと人間、自然存在の関係性、デジタル・ウェルビーイングを研究している。
著書に『未来をつくる言葉―わかりあえなさをつなぐために』(新潮社)、『ウェルビーイングのつくりかた』(BNN、渡邊淳司との共著)など多数。監訳書に『メタファーとしての発酵』(オライリー・ジャパン)、『ウェルビーイングの設計論―人がよりよく生きるための情報技術』、監修書に『わたしたちのウェルビーイングをつくりあうために―その思想、実践、技術』(共にBNN新社)など。
Photo by Takaya Sakano
東京大学大学院学際情報学府博士課程修了.博士(学際情報学).(株)サムソン電子のDMC研究所及び本社デザイン経営センターでのUXデザイン経験を経て,2023年より法政大学 デザイン工学部 システムデザイン学科 教授.インタラクションにより変化していく感情体験の理解と新たな価値創出に関する実践的デザインに従事. https://affectivedesignlab.com
城一裕
1977年福島県生まれ。博士(芸術工学)。日本アイ・ビー・エムソフトウェア開発研究所、東京大学先端科学技術研究センター、英国ニューカッスル大学Culture Lab、東京藝術大学芸術情報センター[AMC]、情報科学芸術大学院大学[IAMAS]を経て、2016年3月より九州大学芸術工学研究院准教授。専門はメディア・アート。音響学とインタラクション・デザインを背景とした現在の主なプロジェクトには、音の再生の物質的・歴史的な基盤を実践を通じて再考する「Life in the Groove」、参加型の音楽の実践である「The SINE WAVE ORCHESTRA」、音・文字・グラフィックの関係性を考える「phono/graph」などがある。
撮影:十河英三郎/Sogo Eizaburo
DIAMOND Inc. のビジネス×クリエイティブプログラム。 ビジネスパーソンとクリエイターの垣根を取り去り、ビジネスとデザインの新たな境界を描き出す革新プロジェクトです。世界的なクリエイターとビジネスパーソンをつなぐ様々なプログラムを開発しています。さまざまなワークショップに割引(最大25%OFF)でご参加いただける特典があります。購読申し込み、最新情報をご希望の方はこちらから。